研究内容
◆人間活動の支援環境の構築
安全・安心だけでなく、快適な生活向上の重要な要素である人の動き、姿勢、視線、表情、体内等をセンシングし、駆動意図の認識とサポート、非接触検査等を行う新しいデバイス、システムを開発します。
2-1 輝度及び分光情報に関する広ダイナミックレンジ計測に基づく不可視情報の可視化
豊橋技術科学大学 情報知能工学系 中内茂樹 教授
巧妙に動作する人の視覚情報処理機構を模した情報処理法を活用する可視光・赤外線画像高品質化、高機能センサへの応用等の実用化を目指しています。
第1期事業で開発した広DR用CMOSイメージセンサの画像を新しい処理法により改善することに成功し、広DRカメラの長所を一層高めると共に、通常のカメラや赤外線カメラ画像での対象物も一層見易くすることに成功しました。この処理法は、紫外線・X線等による画像にも活用できます。
また、人の視覚感応で評価される真珠の品質の光沢(“てり”)および干渉色(“巻き”)が、本センサ技術を適用した客観的・非破壊・非接触で計測される装置として開発されました。
2-2 テラヘルツ波-X線 融合イメージングによる強力な透視非破壊検査技術の研究開発
静岡大学創造科学技術大学院 廣本宣久 教授
テラヘルツ波は、携帯電話や衛星放送に使われている電波と赤外線との中間に位置する周波数の電波で、身の回り品を構成している分子と共鳴する性質を持っています。共鳴する周波数は物質により異なるので、その周波数から物質を調べることができます。
このテーマでは、テラヘルツ波の反射波分光とX線の最先端透過画像の特徴を融合し、空港等での安全・安心に効果が発揮できる透視非破壊検査装置を開発します。
危険物検査を想定した研究成果として、X線による危険物スクリーニングとテラヘルツ波による物質特定技術を融合させた検査装置の有効性を実証しました。現在は測定時間の短縮と装置の小型化による実用化を目指し研究開発を進めています。
2-3 動画像理解ビジョンセンサの開発
中部大学工学部 藤吉 弘亘 教授
動画像中の人や交通標識などの特定物を認識するのに適した「HOG」や「SIFT特徴」を用いた画像処理ソフトのハード化により、使用便宜性の優れた実時間動作の画像認識装置の開発を目指しています。本装置には、顔認識より高度で汎用性の高い認識機能が要求されています。
研究開発の結果、人検出に適したHOGについては、演算・処理ボードを試作し、試供用APIが提供できます。特徴点追跡に適したSIFTについては、試作(写真左)に成功し、画像からの特徴点抽出と認識した物体とをラインで結び表示しています(写真右)。この試作ボードは市販に向けて準備中です。
これらの認識装置は、認識装置から出力信号を使用目的に応じた解析ソフトで処理することにより、人や車の流れ解析、特定対象物の認識による交通標識と一体化した安全運転システム構築など、幅広い応用が見込まれます。
2-4 イオン・光マルチモーダルイメージセンサの開発と医療分野への応用
豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系
澤田和明 教授
寺川進 教授
物質の酸・アルカリ度を検査するpHセンサと光画像用センサを一組とする微小面積のセンサをチップ平面に多数配列したイオン・光マルチモーダルイメージセンサを開発します。
このセンサは、センサ上に置かれた(接触している)物質の正確な位置を光で測定すると同時に、そこにある物質の酸性度を測定し、その物質の活動状況を正確且つ瞬時に画像として表示できることが特徴です。
このセンサの応用として、細胞の活動状況判断、病気のマーカの検出、血液検査等、医療分野への応用開発を進めています。
2-5 自律分散協調ユビキタスセンサネットワーク
静岡大学情報学部 峰野博史 准教授
温度・照度などのセンサに無線送信機能や電力線を利用する通信機能を付属させた小型センサモジュール開発と、それらをネットワーク化して全体が特定の使命を持って作動するためのシステム用ソフトを開発しています。このシステムは、情報ネットワーク設備が十分でない建物や屋外施設における機能の高度化に利用できます。
このシステムでは、センサネットワークによって収集された情報を分析(マイニング)し、状況を推測したサービスを提供するためのソフトウェアの設定・変更が、ネットワークを介して柔軟にできます。プロジェクトでは、利用者・運用者の要望にそった様々な応用が可能であることを例示するため、省エネに活用するネットワーク開発をしています。