A-SAP

A-SAP - 光技術、電子技術を活用した産学官金連携イノベーション推進事業

なぜA-SAP

A-SAP産学官金連携イノベーション推進事業は、一般的な補助金や支援策と大きく異なります。そこでA-SAPを理解していただくために、いくつかの“なぜ”という疑問に対し、答えを用意しました。
ここにない“なぜ”がありましたら、フォトンバレーセンターまでお問い合わせください。

なぜA-SAP?

中小企業の技術課題に対し、その解決策と専門知識によるプロジェクト実施を提供する事業は、A-SAP (Access Center for Innovation Solutions, Actions and Professionals)と名づけられました。そしてA-SAPは、それを迅速(ASAP: As Soon As Possible)に進めるという意味も含んでいます。
A-SAPが誕生する以前、ヨーロッパでは中小企業のイノベーションを光技術で支援するACTPHASTという事業が成果を出していました。これをお手本として生まれたのがA-SAPです。

なぜACTPHASTがお手本?

ブリュッセル自由大学(VUB)の副学長のティエンポン教授(Professor Hugo Thienpont)を中心に欧州で実践されていたACTPHASTという事業がありました。それは中小企業が抱える技術課題に対し、光技術を専門とする研究機関がその課題解決に取り組むというものです
フォトンバレーセンターの目的は、光・電子技術あるいは情報技術など、専門知識を活用して、新規事業、新産業を育成してゆくことです。これにはACTPHASTが目指していたものと共通点が多く、この事業の中心であるティエンポン教授やそのスタッフからたくさんの事を学び、地域の現状と合わせて検討した結果生まれたのがA-SAPです。

なぜ光・電子技術で支援?

もっとも身近な光と言えば太陽や照明器具から得られる光ですが、その光を応用することにより人々の生活を豊かにし、安心・安全な生活環境を創造していくなど、光は無限の可能性を秘めています。例えば、光インターネット、レーザー光を利用したものづくり、光センサーによる自動運転や安全装置、光を使った診断や治療、太陽光による発電など、身の回りには光を利用したものが増えてきています。

このように、光技術は技術革新には欠かすことができない要素技術(Key Enabling Technology)と考えられているのですが、それを効果的に利用するためには、光・電子技術の専門的な知識や経験を必要とする場合があります。そこでA-SAPでは、光・電子技術を専門としない中小企業においてもそれを応用できるよう支援します。光技術の詳細に関しては 光技術の可能性 を参照してください。フォトンバレーセンターが光・電子技術を支援する背景については フォトンバレーセンターについて を参照してください。

なぜ中小企業のアイデア実現を支援?

中小企業の持つ磨かれた技術や経験から生まれたアイデアには、事業化に向けた大きな可能性を秘めています。しかしリソースが限られた中小企業にとって、ちょっとした課題が自社技術では解決できない大きな問題となる場合があり、その解決と事業化に向けて支援しようとするのがA-SAPです。

なぜ申し込みが簡単?

必要とするものは、企業が抱いている課題と企業情報だけなので、申し込みが簡単です。
A-SAPエントリーシートが登録されたあと、その課題の詳細や事業背景を明らかにするため、事務局がヒアリングを行います。この内容に基づき研究機関とのマッチングに向けて進めるか、あるいはフォトンバレーセンターのコーディネータや他の支援機関から技術支援を受けるかなどが決まります。

なぜ事務手続きが少ない?

A-SAPでは申請時に抱いている課題は必要ですが、その具体的な解決手段などはその後検討するため、申請のための特別な手続きは必要ありません。そして採択されて支援研究機関やプロジェクトの内容が決定したあとのプロジェクトに関わる事務処理は、すべて研究機関とA-SAPの事務局で行います

なぜ経費負担が少ない?

課題解決プロジェクトは研究機関が主となり依頼企業も参加して共同で行います。この中で発生する研究機関側の事業費や人件費は研究費として研究機関に支払われ、依頼企業の負担はありません
しかし、企業側の人件費や課題解決に付随する企業側の装置などの経費は企業の負担となります。

なぜ研究者による技術支援?

研究機関が蓄積してきた専門知識と技術は、新しいアイデアを事業化しようとする中小企業が抱く課題を解決する救世主となる可能性を秘めています。また研究機関、特に地方大学においては、地域の新産業・雇用の創出への貢献が重要な役割となってきています。
そこでA-SAPは両者のマッチングを図り、双方の利益を形成することを目的としています。具体的には、企業には実施するプロジェクトの成果がもたらされ、研究機関には産学連携の実績とプロジェクト経費としての研究資金が提供されます。

なぜプロジェクト期間が6か月?

新しいアイデアを事業化するには時間がかかりますが、その過程で起こる技術課題をスピーディーに解決し、目に見える成果を出して一歩前進するというのがA-SAPの目指すところです。そのためプロジェクト実施期間を6か月程度としています。
抱える課題の中には6か月で解決できないものが多々ありますが、プロジェクトリーダーと依頼企業とで課題を分解し、その中で重要度や緊急度に応じた絞り込みを行い、6か月間で完了するプロジェクトを計画します。
なお申請締め切りからプロジェクト実施にいたるまでには約4か月の期間が必要になります。この期間には、支援依頼内容の調査、支援の具体化検討、プロジェクト計画立案、契約などを行います。

なぜ金融機関が支援?

新しいアイデアを事業化するためには、製品やサービスを技術的に実現することに加え、どのようにビジネスとして成立させるかを前もって考えておく必要があります。それを支援するのが金融機関の役割です
申請された課題と研究機関とマッチングを図る段階から、依頼企業が指定する金融機関からA-SAP担当者が指名され、随時ビジネス面でのアドバイスを行います。さらに採択審査会ではビジネス面での評価も行うため、依頼企業との話し合いを基に金融機関の担当者が審査ための書類を作成します。

なぜTRLが重要?

技術開発が、どの段階まで進捗したかを定量的に把握するための尺度として1980年代にアメリカで開発されたのがTRL(Technology Readiness Level)で、日本語では技術成熟度レベルと訳されています。ACTPHASTでは支援したプロジェクトにおいてどれだけ技術開発が進捗したかを表す指標として採用されており、A-SAPでもこれを採用しています。
具体的には、中小企業が開発しようとしている製品に関し、支援プロジェクトを開始する前と完了した後のTRLを比較し、それをプロジェクトの成果として評価するものです。A-SAPではTRL3からTRL7の範囲を主な支援対象としています
TRLを判断するためにはいくつかの項目がありますが、大まかには以下の通りです。

  • TRL1:基本的な原理を検討する。(研究)
  • TRL2:技術的実現手段を練り上げる。(応用研究)
  • TRL3:技術的要素を検証する。(主要構成要素の試作)
  • TRL4:実験室レベルで機能・性能を検証する。(限定的な試作機)
  • TRL5:実際に近い導入環境で機能・性能を検証する。(製品試作機)
  • TRL6:実際に近い導入環境で機能・性能を実証する。(製品試作機)
  • TRL7:実際の導入環境で機能・性能を実証する。(製品)
  • TRL8:量産化(製品)

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